こんな症状はありませんか?
下記のような症状があれば、下肢静脈瘤の初期症状かもしれません。

- 脚の血管がこぶ状に膨らんでいる
- 脚が痛い
- 脚がむくむ
- 脚がつる
- 脚が重だる・だるい
- 脚がかゆい
下肢静脈瘤とは
静脈弁がこわれて血が逆流し、脚にたまってしまう病気
下肢静脈瘤とは、脚の静脈内にある弁が壊れて血液が逆流してしまい、脚に溜まってしまう病気です。血管が腫れてこぶ状に膨らむなどさまざまな症状があります。
病気になる原因
下肢静脈瘤は40歳以上の女性に多く見られる病気で、年齢とともに増加してきます。2005年時点の40歳以上の男女を対象とした調査では、全体で約8.6%(男性3.8%、女性11.3%)に下肢静脈瘤があり、患者数は1,000万人以上と推定されています。出産経験のある女性の2人に1人が発症するというデータもあります。
また、立ち仕事が多かったり、デスクワークで座りっぱなしの時間が長かったりするといった生活習慣も影響します。
治療が必要になりやすいケース
血管がこぶ状に膨らんでいれば、手術適応になりやすい

治療が必要になるかどうかの目安は見た目です。脚の血管が膨らんでいれば、多くの場合、手術を行います。血管が飛び出ておらず、クモの巣状、網目状に透けて見える場合は、手術を行うことは少ないです。
血管が膨らんでおらず、脚に痛みやむくみだけがある場合は、心臓病や腎臓病など他の病気が疑われます。そのような場合、まずは内科などを受診していただくことをおすすめします。それによって、下肢静脈瘤ではない病気を早めに見つけられることもあります。受診した結果、心臓や腎臓に異常がなかった場合は、当クリニックにお越しください。
放置しておくリスク
皮膚の状態が悪くなり、潰瘍の手入れをしないといけない…。日常生活に支障が出る場合も
下肢静脈瘤は放置していても命に危険が及ぶことはありません。しかし、症状が進行すると皮膚が黒ずんで硬くなり、潰瘍ができて重症化することもあります。そうなると、日常生活に支障がでる恐れがあります。
早期治療で完治する可能性は高まる 合併症のリスクも低く
色素沈着、皮膚炎、潰瘍がある場合はもちろんですが、血管がこぶ状に隆起しており、他の症状も合併している場合は早めにご相談ください。
症状が悪化すると、治療が複雑になります。回復が長引いたり、皮膚炎の跡が残ったりすることもあります。早期に治療することで合併症が起きるリスクは低下し、完治する可能性も高くなります。
日帰り手術など治療方法の紹介

当クリニックでは下肢静脈瘤に対し、日帰り手術など下記の治療を行っています。
当クリニックでの血管内焼灼術
2種類の下肢静脈血管内焼灼術
現在、国内で保険適用が認められている下肢静脈瘤血管内焼灼術には、「血管内レーザー焼灼術」と「血管内高周波焼灼術」の2種類があります。治療効果と安全性についてはほぼ同等であることが多くの学術会議や学術誌で報告されています。レーザーか高周波かの選択は各々の医師の判断によるところが大きいのではないでしょうか。
当クリニックが使用するレーザーと高周波
当クリニックでは、開院以来、ELVeS-1470nmレーザー:Biolitec社製(国内では株式会社インテグラル社取り扱い)を使用しています。これは、下肢静脈瘤に対する伏在静脈血管内焼灼術(血管内治療)機器として、国内で最初に認可された同じBiolitec社製・980nmレーザーの後発機種として2番目に認可されたものです。
このELVeS-1470nmレーザーが認可された後に、高周波治療器(ClosureFast™ カテーテル ClosureRFG™ ジェネレーター:Convidien-Medtronic、日本コヴィディエン社)と新しく認可されたレーザー治療器(エンドサームレーザー™ 1470:LSO Medical、メディコスヒラタ社)が保険収載の下肢静脈瘤治療機器として認可されました。
当クリニックでは、平成28年10月から、3機種をすべて導入しました。多くの患者さまの幅広いご要望や多様な病変に、より適切に対応していくためです。
3つの血管内焼灼機器の特徴
ELVeS-1470nmレーザーは複雑な病変にも対応可能な機種として多くの患者さまに使用してきました。エンドサームレーザー™1470もさまざまな病変に対応可能であり、さらに血管内に入れるファイバーが細いという特徴があります。また、焼灼の際にスムーズなファイバー牽引が可能です。Convidien高周波治療器は微調整が効きにくい反面、長さのある病変に対して均一な治療効果を焼灼血管に与えることができます。
では、大伏在静脈の複雑ではない病変に対して高周波治療器を用い、小伏在静脈や複雑な大伏在静脈病変に対して2種類のレーザー治療器を適宜使い分けています。
2020年から保険適用となった下肢静脈瘤血管内塞栓術(グルー治療)
これは、手術の際の患者様の負担(苦痛など)を最大限に軽減した手技であると言えます。
現在、世界中で下肢静脈瘤に対する標準術式となっている下肢静脈瘤血管内焼灼術と比較し、いかに苦痛が軽減されているかと言うことを表す言葉に、英語で、
Non thermal, Non tumescent ( NTNT )
というのがあります。血管内焼灼術において患者様の苦痛の主な原因であり医師にとって悩みの種でもある、『「熱」と「TLA麻酔」が無い治療法』ということです。
従来の標準的下肢静脈瘤手術は、伏在静脈ストリッピング術 と 伏在静脈血管内焼灼術(レーザーや高周波)、でした。
ストリッピングでは血管を引き抜く時に周囲組織や静脈が損傷され、血管内焼灼術では血管壁を介して周囲組織に熱損傷が引き起こされます。それらを最小限に抑えて術中の苦痛を取り除くのが「麻酔」です。
ストリッピングも血管内焼灼も局所麻酔のみで行うことは可能ですが、伏在静脈の処置を施す部分全域に亘って麻酔を効かせるため、TLA麻酔(低濃度大量浸潤局所麻酔)が採用されています。
この麻酔手技が患者様には最も苦痛を伴う術中の手技と言えるのですが、下肢静脈瘤血管内塞栓術を行う場合、血管外への術中の刺激がありませんので、カテーテルを穿刺・挿入する箇所のみの少量の局所麻酔だけで麻酔手技が完了となります。

接着剤を、閉塞させる伏在静脈内に、ごく少量ずつ3cm置きに注入留置し手技が終わります。
終了後は、刺入部に絆創膏を張りますが、包帯や弾性ストッキングは基本的に不要です。

ただ、どのような治療にも、メリット・デメリットがありますので、2020年の段階で本治療に特徴的なものを以下に列挙します。
※表は横にスクロールできます
メリット | デメリット |
---|---|
・術中の患者様の苦痛が少ない ・瘤切除が不要なことが多い ・術後の弾性ストッキングが不要 ・熱や抜去に伴う周囲組織への損傷がない |
・まだ世界中で経験が多いとは言えない ・2020年時点で標準術式ではない ・グルーに対するアレルギーや過敏症の報告がある ・少量であるが伏在静脈内に異物が残る |
新しい治療ではありますが、希望される患者様がいらっしゃれば、当院では積極的に実施していく方針です。
高位結紮術(こういけっさつじゅつ)
静脈の根元をしばって切り離す 再発の可能性が高いというデメリットも
下肢静脈瘤は多くの場合、脚の付け根の静脈の弁が壊れることで発症します。高位結紮術(こういけっさつじゅつ)では、脚の付け根の皮膚を2cmほど切開し、弁が壊れた静脈の根元をしばって切り離すことにより、血液の逆流を止めます。
傷口は1ヶ所で済みますが、高位結紮術だけでは治療が不十分であることも多く、再発の可能性も高いため、この治療法が適応となる患者さまは限られます。多くの場合、硬化療法やレーザー治療と組み合わせて治療します。
その他の治療
硬化療法
手術適応がなく、見た目を改善したい患者さま向けの治療法
硬化療法とは、静脈に硬化剤を注入して、血管を閉じる治療法です。クモの巣状、網目状に血管が透けていて、血管手術の適応ではないものの、見た目を改善したいという方に行うことが多い治療法です。硬化剤には血管の中をくっつける作用があるため、血管がふさがり、徐々に細くなっていき、最終的には体の組織に吸収されます。
体への負担は少ないのですが、他の治療法に比べて再発することが多く、色素沈着などの合併症が起こる場合もあります。
下肢静脈瘤になりやすい生活習慣&予防のためにできること
下肢静脈瘤になりやすい生活習慣
立ち仕事が長い、デスクワークで座りっぱなし

立ち仕事が長い方、デスクワークで座りっぱなしの時間が長い方は下肢静脈瘤を発症する可能性が高くなります。
患者さまには、事務職の方が多いですが、ひざや腰が悪く、定年退職後に一日中家の中で座りっぱなしのご高齢の方も目立ちます。
予防のためにできること
予防のためには歩くこと 仕事の合間に少しでも
下肢静脈瘤の予防のために脚の筋肉を意識して使うようにしましょう。予防で大切なことは歩くことです。仕事の合間の休憩中などに、少しでも歩くことをおすすめします。歩くことで脚の筋肉が使われ、圧迫された血管が元に戻るポンプ機能が正常に働き、静脈の中の血液が心臓に向かいます。