熱中症で痛ましい事例が起きてしまいました。僕は、関係者ではありませんから、報道でしか内容を知りません。でも、危険という呼び掛けが出ている状況で、「行きたくない」と言う子どもを、1km離れた公園まで歩かせ校外実習をさせ、結果的に最悪の事態を引き起こした。

僕は、常日頃から、弱者が理不尽に被害を被る事件や事故の報道に強い憤りを感じます。この事例は、その最たるものでした。その子は、本当につらかったんだろうと思います。

また、当たり前ですが、命はかけがえのない大切なものです。心臓血管外科を長年やってきて、生き死にの局面に何度も関わって来ましたから、肌でわかっているつもりです。重症の緊急手術症例などで、手術は終わっても生命維持装置から離脱できないような状況が長く続くと、スタッフもご家族も、おそらくご本人も疲弊してきます。そして、何日も泊まり込みが続きながら他の手術もこなしていかなければならない自分も、疲れて来ます。そんなとき、あっちゃいけないことですが、もう終わってもいいんじゃないか、十分頑張った、などという考えが、頭の隅をよぎったこともあります。そして、良い結末も、悪い結末も、いろいろ経験してきました。

そこで言えるのは、死ぬと、本当に終わり、ということです。何もかも終わり、ということです。まあ、いろいろな思想のかたはいらっしゃるでしょうが、これはあくまでも僕の感じてきたことです。生きると、たとえ障害が残ろうと、いろいろ複雑な苦労があろうと、それがもし束の間だとしても、「笑顔」があるものです。生きるというのは、素晴らしいことだと思っています。

教育の現場は大変だと思いますが、小さなお子さんには、引っ込み思案でなかなか「行きたくない」と言えないお子さんさえいらっしゃると思います。なんとか今回のようなことが繰り返されないように、先生方に頑張って頂きたいと願っています。

千葉静脈瘤・循環器クリニック